Adansonia
作詞:Eriko Iwasawa
作曲・編曲:Hiroyuki Kato, Makoto Suzaki
はるか 遠い記憶から 響く かすかに歌声が
僕の頭の奥で 動き出すメロディー
君へ 届け いつか
幾年 この場所に佇み 大地に根を張り見守っていた
君が僕に送るメロディー ずっと聴いていたかったのに
あぁ だけどもうすぐ 消えゆく予感
急に体が冷たくなった 人々の手により崩れてく
泣きじゃくる君に 差し出す手も無く 声も出ず…
はるか 古の時代 僕が奏でたあの歌を
いつか 君と巡り会い 共に歌うことを
願い 瞳 閉じる…
「Adansonia」の物語と思い
岩澤絵里子
この曲はマダガスカルのとある村にある1本のバオバブの木と少女の物語です。
昔から村に伝わるという古い歌。
少女は、その歌が大好きでよく歌っていました。
ある時、少女は村の外れにある1本のバオバブの木を見つけます。
そのバオバブに触れて歌を歌うと、まるで一緒に歌っているような気分になり、心がとても落ち着きました。
その日から少女にとって、そこはお気に入りの場所になりました。
実はこのバオバブはかつて人間でした。
木になったことで思考は失われ、はるか遠い昔の人間だった時の記憶は覚えていませんでした。
しかし、少女の心に響く優しい歌声が彼の記憶を呼び戻したのです。
聞き覚えのある懐かしいメロディー。
彼女が大好きな村に伝わる歌はバオバブが人間だった頃に作った歌だったのです。
それからバオバブは少女の歌を聴くことを心待ちにする日々が続きました。
バオバブは少女に恋をしたのです。
けれどもそんな日々も長くは続きませんでした。
その地域を観光地にしようと、人々が土地の開拓を始めたのです。
その影響でバオバブもなぎ倒されてしまいます。
消えゆく命の中でバオバブは思いました。
いつかもう一度生まれ変われたのなら、少女と一緒にあの歌を歌いたいと。
以上が物語の内容です。
今回のテーマは「縁」。
「一曲の歌が生み出した、時代を超えて巡り会う二人の物語」 生きている限り、いつかは消えてしまう命。
けれども歌い継がれてゆく歌は決して無くなりません。
前世から現在、そして来世まで。
この曲も歌い継がれてゆく歌になればいいという思いを込めて作りました。
マダガスカルの雄大な自然を感じてもらえたら嬉しいです。