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まばたき
umi
まばたき
umi
子供のころ、両親の運転する車から外を覗くと
月がどこまでもついてくるので、それがあまりに不気味で、
晴れた夜が嫌いになった事があります。
そのおかげか、今でも少しだけ夜は嫌いなんです。
やがて、永く使っていた丈夫なカバンはほつれ、
お気に入りのスニーカーには足が入らなくなり、
お小遣いで望遠鏡なんて買うような歳になると、
毎日その小さな窓から大きな月を覗いては、
手の届かない距離にある事を憂いていました。
過ぎる月日と共にゆっくりまばたきを繰り返す月は、
いつも夜の僕たちを見守っていて、日陰の中にいる
誰も知らない僕やあなたを知っているんです。
それはきっと友人達より、両親より。
そんなことを考えてたら少しだけ、夜が好きになれた気がしました。
一人の夜も君と二人、いつまでも一緒にいようね。
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