濡れたアスファルトが連れてくる雨の匂いと共に、

まだ夏服の女学生達がひそひそ話の距離感で

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「涼しくなってきたね。」「うん、今日はしめやかな日だね。」

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と言葉を交わしながら長い田舎の土手道を歩いて行きました。

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「しめやか」という言葉には、「物静かな様子」と

「人々の気分が沈んでいる様」という２つの意味があります。

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猛暑の続いた今年の夏も、いざ終わってみれば寂しいもので、

何もなくとも忙しく思えた日々が忽然と姿を消してしまうと、

秘めた余熱が行き場をなくして少し気分が沈んでいましたが、

そんな僕の心情を呟いた綺麗な言葉一つで撫でて鎮めるようにして、

彼女達はすれ違って行きました。

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季節は秋。もうすっかり涼しくなって、半袖で歩くには肌寒い。
どうかこのまま、優しい雨だけが彼女達を包んでくれます様に。