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創作者と創造

〜Meine Meinung編〜

​#5 クリエイターの将来像について

つれづれ 多様化していくメディアに対してどう考えているかというか。それこそそういう意味合いで今回の活動にご賛同いただけているのかなと思うんですけど、これから音楽が消費される時代で一曲一曲があまり重要視されないというか、そういう風潮の中でどうやったらクリエイターが、価値観が多様化していく中で生き延びていくのかっていう、ハイパーメディアクリエイターみたいな。どういう将来像を描かれているのかっていうのをお聞かせ頂ければなと。

 

加藤 これはもう、正にハイパーメディアクリエイターですね(笑)。メディアミックスなんですよね、時代的には。音楽っていう聴くだけのものよりも、映像とか体験とかそういったものを通して、いわゆるエンタメを求めるようになるし、ましてや消費者が主人公になるようなっていう風潮になっていくし。一つは、今まで通り生活の中で曲をかけて、その曲をバックに人生を送るっていうのはずっとあると思うんですけど、その為の楽曲っていうのはほぼほぼ出揃ってると僕は思ってるので。じゃあそこから先どうなるかっていうと、"その時"にある音楽が体験の中でどう活かせるかっていう。だから、こんな言い方して良いのか分からないですけど、音楽作ってるだけでやっていくっていうのはなかなか、超一流の人以外無理なんじゃないかって。少なくとも音楽っていうものが、何かの一部としてっていう視点は持ってないとっていう気はしますね。

つれづれ ありふれてるけど音楽が主体になるシーンって、あまり無いですよね。

 

加藤 無いですね。

 

つれづれ 遡ってみても、あまり無いんですよね。

 

加藤 そうですね。昔のクラシックのコンサートとか、その頃は40分の交響曲を涙を流しながら聴いてっていうのはありましたけど。でも今はそういう音楽の聴き方をしてる人はほとんどいない訳ですよね。ライブだって、なんなら聴いてないかもしれない。サイリウムを持って踊る為に来てる可能性がある。そう考えると、その人たちの人生を楽しく彩るっていう部分を意識したクリエイションっていうのが結構大事なんじゃないかなっていう気はしますね。

 

つれづれ ありふれていて、無くなるものではないけど、それらの視点とどう付き合っていくかっていうのが今の自分達が求められている所なのかなというか。

 

加藤 極論ですけど、プロのクリエイターはいなくなる可能性はあるかなと。……流石にそれは言い過ぎかな。でもお金を作るっていうのはもっと直接的な需要があるものに吸収されていってみんな副業を持つようになって、週末にクリエイションするとか、クリエイター業は副業にするみたいなことの方が、人数としては増えていくって気はします。そんな事言ってて僕らは音楽でやっていこうとしてるんですけど(笑)。

 

須崎 でも組み始めた当初から見ても大分ガラッと変わってますから、また先の十五年後は全然想像もしないような結果になってるかもしれないですよ。

 

加藤 予測の域を超える事は出来ないですけど、コンビニの店員さんがいなくなる可能性、全部ロボット化されるっていう。同じように作曲もミックスも今はAIがやり始めて、作詞もAIの話が出ていると。そうなって来た時に、じゃあクリエイターの存在価値っていうのは何なのか。

 

つれづれ 僕らに何が残るんだと(笑)。

 

一同 (笑)。

 

加藤 そこって人間にしか出来ない強烈なモノっていう事になってくるんですけど、ただもっと怖いのは、それを持っていれば確かにAIと違うモノは作れたりするけど、それが求められなかったら?AIが作るモノのレベルで充分だよっていう時代になっちゃったら、いくら素晴らしい才能を持っていても必要とされないから、死んでから評価される、みたいな感じになるかもしれないし。

 

須崎 実際ボカロとかVtuberが人気になってるのは、実写より偶像的なものの方が入り易いみたいな。

 

加藤 そう。生身の人間である必要が無いですからね、よくよく考えれば。偶像の方がパーフェクトなんですよ、想像の世界ではね。脚も長いし顔もちっちゃいし。

 

つれづれ クリエイター生命も長いですしね。老いが無いからっていうのはありますから。

 

加藤 色んなシチュエーションも作れるし、色んな体験をさせる事も出来る。そう考えると、ユーザーに体験させるエンタメが流行っていく中で、クリエイターっていうのはこうやって話している中でも思いもつかないような革新的な何かを見付けて、そこを進めていくっていう事が無い限りは「大丈夫なのか……?」っていう危惧は持ってますねいつも。

 

つれづれ 我々のやってる活動は時代に逆行しているというか(笑)。むしろもっと人間の本質みたいなもの、自分達にしかできないことを芸術の部分から引き出して見つめ直していこうっていう。今はデバイスがどんどん便利になって、深く考えなくてもなんとなく生きれちゃう時代だからこそ、色んな情報や価値観に踊らされないで自発的に考えて選択する力は重要だと思っています。それを作品を通して楽しみながらみんなで一緒に考えていけたら最高だなという想いで、逆説的だけどそれが新しいという価値観になればと考えています。

 

加藤 世の中の人間って産まれたあとも、環境で性格とか決まっていくじゃないですか。という事は教育水準で我々の人生が決まるのかもしれないですよね。教育水準で消費者がどう考えるのかが決まるのだとしたら、そこで洗脳されて決まる訳じゃないですか。だからその時に音楽は添え物で、機械が作ったモノで十分なんだよっていう教育になっちゃったら、ちゃんと良いモノ作ろうっていう努力は報われないものになるでしょうし、逆に芸術っていうものをもっと自分の主観で考えようとか、そういう事がちゃんと教育の現場で伝えられるようになれば、衣食住とは違うモノですから結局お金を生むモノにはなりづらいかもしれないですけど、消費者は本当に良いモノを自分の眼で探そうってなっていくので、そうすると人間のクリエイターもまた活きてくるんじゃないかなって気もするし。

 

つれづれ 教育業界は聖域的な部分が多い印象ですが、そういった"モノのみかた"みたいな教科書では伝えづらい視点を我々クリエイターが貢献出来たら、生き残れる道があるかもしれませんね。今日は貴重なお時間ありがとうございました。共感できる視点から、目からウロコの視点までとても有意義な座談会でした!今後ともお付き合いいただけるとありがたいです。

​#End 話者の作品等について

Meine Minung

Janus ~Ending to Begin~ / Capella

2019年12月31日リリース

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つれづれ推進委員会

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ソウシコウ ~「縁」について~

2019年5月12日発売

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